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建築家+左官職人 森田一弥の写真日記
写真撮影@守口
昨年三月に竣工した「Shelf-pod 君府亭」の写真撮影に行ってきました。昨年撮影した写真は家具のない、まっさらの状態での撮影だったので、今回は家具や書籍の入った状態での撮影。自分の設計した空間に家具が持ち込まれて生活が始まった様子を見るのは、いつもいろいろな発見があって楽しい。そんなときのお施主さんの対応は「こんな使い方をしてしまって。。。」と、我々の意図と違う使い方に恐縮されることも多いのですが、僕は基本的に多様な使い方ができるということが空間の豊かさの指標の一つだと思っているので、むしろそれは嬉しい誤算なのです。



ダイニング机と同レベルでつながるサロンスペース。



手前の寝室スペースと書斎の机も同レベルでつながって、螺旋状に空間が展開している。



サロンの家具。キリム、ソファのカバーなどはお施主さんがトルコから持ち帰ったもの。



格子棚に入った書籍とその背後の漆喰塗+耕造用合板。



開口部は二種類あって、ひとつは景色を見るための透明ガラスの開口部、もうひとつは採光用の曇りガラスの開口部。



お風呂の床と腰壁はモロッコ漆喰の「タデラクト」。この鮮やかな発色と光沢、そして耐水性能は、従来の日本の左官仕上げには無かったもの。当時は日本での施工実績がほとんどない中で使ったのでいろいろと心配もあったのですが、一年経ってもほとんど汚れが見当たらないので、ひと安心しました。
| 森田一弥 | Shelf-pod | 21:55 | comments(0) | - |
春の祭礼@静原神社


5月3日に、近所の静原神社で春の祭礼がありました。数日前から、集落のあちこちの道端には、こんな感じのお浄めの塩と小枝が立てられます。



祭礼の中心となる静原神社は4世紀くらいまでその歴史を遡る古ーい神社で、本殿前の御神木の杉も直径が2mくらいあります。ずーっと昔からここに佇んでこの村の歴史を見守ってきたのですね。



本殿前に立てかけてあった鬼の面。



流れ造りの本殿の屋根。



本殿の正面。



本殿前の拝殿に並べられた二基の神輿。



倉から1年ぶりに出した神輿に、桧の担ぎ棒を結び付ける。結び目はもちろん男結び。



静原神社の祭礼では、晴れ着を着た女の子が神様へのお供えを入れた大きな平膳を頭に乗せて、集落の西はずれにある天皇社まで神事道を巡行する、神饌(みゆき)持ちという行事がある。先日の烏帽子儀が男の成人の儀式なら、こちらは成人前の「清らかな」女の子による、神様への儀式。



巡礼の途中の、小さな神社へのお参り。



午後になると、神社には神輿を担ぐ男たちが集まってくる。



神饌(みゆき)持ちは午前と午後の二回、天皇社までの巡礼をしますが、神輿は二回目の神饌(みゆき)持ち巡礼の後に続いて、道中を賑やかに練り歩きます。引っ越してきたばかりの我が家ですがさっそくこの祭礼に参加させていただき、長女が神饌持ち、僕も神輿を担ぐはめになり、ついでに長男と次男も子供用の小さな神輿を曵いて歩きました。



神饌持ちと神輿を担ぐ男のための、集落のお年寄りが編んでくださった独特の「わらじ」。藍で染めた紐のおかげで、激しく動いても脱げない優れもの。
| 森田一弥 | @京都 | 23:54 | comments(0) | - |
春の行事@静原
京都北部の山あいの静原にも、春がやって来ました。自宅や事務所の整理で何かと忙しい上に、集落の行事が次々と押し寄せています。平日は出国前に完成した物件の現況の確認にいったりスペインでの記録を整理したりと何かと仕事がありますが、休日にも行事があって忙しいことこのうえない。ただ、あまり急かされている気がしないのもこの土地ならではなのだろうか。

先週日曜日は村の各所の大掃除があり、僕は集落の南の墓地へ続く道の清掃部隊に組み込まれた。軽トラックの荷台に乗せられて田んぼの中を走る気持ち良さ。集まっているのはほとんど60歳オーバーのお年寄りばかりなのだが、彼等のよく働くこと!さすが普段から農作業で体を動かしているだけのことはある。



 自宅の所属する町内会で持ち回りになっているのが、我が家のすぐ脇にある祠のお世話。9軒の家が毎日各戸持ち回りで、夕方になるとロウソクを灯してお参りをしなくてはいけません。この祠は京都の愛宕神社の火伏せの神様が祀られていて、各家を火事から守っています。さらに毎年五月には当番の家が愛宕山にお参りして、各家の台所に貼る「火迺要慎(ひのようじん)」のお札をもらってくることになっています。




4月6日は「烏帽子儀」という、静原の集落に綿々と続く元服の儀式。お供えの松の枝には小さなカニがぶら下がっていたり、意味はよく分からないが面白い。17歳になった長男だけが受ける成人の儀式で、今では簡単な儀式だけになってしまっているが、かつては大勢の人を招いて豪勢に飲んで食べて数日で数百万円を使ってしまうほど賑やかなものだったらしい。



4月19日には「花祭り」といってお釈迦様の誕生日を祝うお祭りがあった(東南アジアでは「水かけ祭り」がこれにあたる。本来は4月8日に行うものらしいが、今年はその日にお葬式が重なったりして順延された)。村の子供たちがきれいに着飾って村の中を一周し、そのあとお寺でお経を上げて誕生仏の像に甘茶をそそいだ。釈迦誕生の際、空から甘い雨が降り注いだという伝説にちなんでのことらしい。いただいた甘茶は、砂糖が入っていないというのに本当に甘い味がした。



京都市内から静原に戻る途中、大原で見かけた満開の菜の花畑。都市化が進む京都市郊外も、北山通より北はまだあちこちにこんな田園風景が広がっています。
| 森田一弥 | @京都 | 08:55 | comments(1) | - |
講演をします@アーキフォーラム
今月26日に大阪で講演をします。アーキフォーラムという大阪で毎月行われている講演会で、今年は「国境と建築」というのがシリーズテーマになっています。僕は「スペインで考えたこと」という題で、日本の左官技術を学んだ建築家/職人の視点から、スペインの建築とそれを支える左官技術を見て得られた自分なりの発見を、気楽にお話をしようと考えています。どうぞよろしく。

| 森田一弥 | @日本 | 21:24 | comments(1) | - |
最初の一週間@京都
スペインから帰国して一週間。1日目と2日目は1年ぶりの日本の風景の全てが新鮮で奇異に感じられて面白かった。これはなかなか経験できる感覚ではない。たけど、長年生活した日本の環境に馴染むのは早い。一週間経った今では、海外で1年も生活していたことが、はるか昔の出来事のようだ。

4/1 朝7時に関空着。てんこ盛りの荷物を空港の宅配サービスで自宅に送る。空港から京都までの車窓の風景を見ると、日本の現代都市の風景は、とにかく安けりゃ良い、やりたい放題にやるぜ,という建物の群れで成立しているように見える。誰も公共空間への配慮なんか考えていないし、そもそも「公共空間」という意識自体が人々の間に存在するかどうかも怪しい。個々の建築は建築基準法でがんがんに縛られているのに、実際に出来上がった風景は個人の事情や欲望が赤裸裸に現れている、この落差は何なんだろう。昼頃に京都静原着。荷物の受け取りと、電話の開通と、とにかく生活を再開するための荷物の整理。日本での初料理はうどん。うまい。日本の食べ物は本当においしい。

4/2 朝食は念願の納豆ごはん。うまい。引き続き、荷物の整理。昨年の引っ越しの荷物がそのまま段ボール箱に入っているので、それらをひも解いて足りないものを買い出しにいく。ホームセンターの中にいると絶え間ない放送と有線の歌謡曲とで頭がおかしくなりそうだ。日本の歌手の歌い方は、久しぶりに聞くと相当ファニーで、何度も吹き出しそうになった。そして壁面を埋め尽くす張り紙。どこを見ても情報の押し売り状態で空白が無く、目眩がする。生活必需品であるケータイを夫婦で契約。夜、左官の久住氏がひょっこり現れ、しばらく近況を話す。

4/3 朝食はトーストとスクランブルエッグ。日本の卵はスペインのに比べて味が薄いような気がする(肉も)。日本の区役所で住民登録と健康保険の申し込み。区役所の窓口は始業時間が30分早くなり、昼休みも交替で応対をしていて、さらなるサービスアップに驚く。ホンマに日本人はよく働くし、際限なくサービスを向上させる。あまり良いことだとは思わないが。その後,長男の入学式のための服などを購入。

4/4 ケーブルテレビとインターネット用のケーブルの工事。ようやくネットが繋がる。わずか4日だがネットが無いとずいぶんと不自由する。夜、神楽岡の職人仲間、柳沢氏と龍門で中華を食べ、そのまま3時頃まで飲みながら話す。

4/5 子供の靴が皆ぼろぼろの状態で無惨なことになっているので、寺町通へ買い物に出る。みやげ物屋と、若者向けの衣料品店と、ゲーセンと、お寺と神社が一緒くたに街を形成していて、日本人の自分がいうのも変だが、ものすごくエキゾチック。たこ焼きを買って、路上に置かれた長椅子に座って食べる。うまい。その後,家の前の畑に植えるハーブや野菜の苗を買う。京都市内は桜が満開。

4/6 山崎井口夫妻、岡田夫妻、満田夫妻、久住夫妻と京都御所にて花見をかねたピクニック。天気もよく、持ち寄った食べ物とお酒もおいしく、子供たちも機嫌良く遊び、楽しいイベント。夜は静原に古くから伝わる元服式の行事「烏帽子儀」を家の近所の集会所で見る。

4/7 静原小学校にて長男の入学式に出席。今年の新入生は7名。全校生徒が30数名の静原小学校としては今年の新入生は多い方らしい。うち3名はわざわざ隣の市原小学校区からバス通学で通う子供たちだ。なんでもこの生徒数に担当教員が2人つくので、家庭教師並みの手厚い教育が受けられる、と考えてのことらしい。なるほど。今日は終日雨降り。午後は市内へ出て、銀行の各種手続き。

4/8 雨上がり。静原の景色は山に霧がかかって、湿り気を帯びた景色が美しい。午後に1年ぶりにShelf-pod 君府亭を訪問。書棚に本が並び、家具も増えて、とても楽しい空間になっていた。お風呂のタデラクトもいい色に仕上がっているし、焼きムラのあるトルコ製のタイルも味がある。昨年は家具や本の無い状態で竣工写真を撮影したので、今度は家具のある状態での撮影をお願いしようと思っている。



| 森田一弥 | @京都 | 22:27 | comments(4) | - |
帰国しました@京都
一年間のスペイン滞在を終えて、4月1日に無事日本へ帰って来ました。今後は、京都市の北部、鞍馬と大原の中間にある静原という山あいの集落に自宅と事務所をかまえて設計活動を再開です。この徹底的にローカルな場所を拠点にどんな仕事ができるのか、身が引き締まるとともにワクワクする気持ちでいっぱいです。



写真は、近所にある静原神社の狛犬。静原は日本の良さをしみじみと味わわせてくれる、とても素敵な集落です。いちおう京都市内にありながらも全く知られていないこの集落についても、日々の生活で目にしたことなど色々とご紹介していこうかと思っています。今後ともどうぞよろしくおねがいします。
| 森田一弥 | @京都 | 11:09 | comments(1) | - |
カタランボールト屋根の現場@バルセロナ近郊
バルセロナ在住のカタランボールト職人・谷口達平さんの案内で、バルセロナの近郊の街マスノウの住宅建設現場を見学。今ではほとんど見ることが出来ない、カタランボールト工法による大屋根の施工現場。最後の最後にようやく見ることのできた現場で、本当に嬉しい。もう少し早くジョルディさんと知り合って、できれば一週間くらいここで働きたかったけど、残念ながら今回は時間切れ。



仕事が終わる夕方六時頃にお邪魔して日が暮れるまでみっちり1時間、親方のジョルディさんも交えて建物を見て、施工方法や材料などの色々な質問をさせてもらった。足場板に鉛筆で絵を描きながら説明する様子は、日本の建設現場の職人さんと変わりない。

職人さんの1日の仕事の流れとしては、朝は早くて7時45分から作業開始、途中で15分の食事休憩をはさんで1時まで作業。1時間の昼食のあと、2時から6時まで作業。それでその日の仕事は終わり、ということだそうだ。スペインで夕方の6時というとまだまだ日が高くて、たっぷり買い物をしたり食事を楽しむことが出来る時間。早く仕事を終わらせて,自分の生活を楽しむ時間を確保する生活リズム。豊かですねえ。



作業に使う、レンガ鏝。右側の鏝が伝統的な形で、尖った角の部分でレンガを割ったり出来るようになっている。左側は現代風のレンガ鏝で、材料を壁に塗り付けやすい形になっている。



一層目のレンガを接着するのは、石膏yesoか即硬性のセメントモルタルcemento rapidoを使う。工事後に室内になる場合は一層目に石膏を使うことが多く、そうでない場合はセメントモルタルを使うらしいが、そのセメントモルタルの硬化速度が3分程度で固まってしまうというからすごい。レンガをあらかじめ水に浸しておくのは日本と同じだが、ちょっと早めに引き上げて、いい塩梅の湿り具合にしておくことが、効率良く固定して作業するためのコツ。二層目以降はこの写真の袋の中にある、水硬性の石灰モルタルmortero de calでレンガを固定していく。



カタランボールト屋根の内観。ボールトのスパンはなんと15mもあって、一部に天窓が設けられている。



工事途中のボールト屋根。



レンガを積む時の基準の墨だし方法は定規(型板)を使ったり、糸を張るなどいろいろあるが,今回はこのようにアーチ状の定規2つを移動させながら、正しいボールト形状を保ってレンガを固定していっていた。



アーチ形定規を横から見ているところ。写真ではこの定規の上にレンガをのせて固定しているが、もちろん定規なしでもレンガを固定することは可能。今回はボールトのスパンが15mと大きいのでレンガ一枚では構造的に不安定ということもあり、一枚目を積んですぐに二枚目、三枚目の層も石灰モルタルで固定して、ボールトの厚みを確保しながら作業を進めていた。



最後に、ボールト屋根をバックにおどける職人さん。
| 森田一弥 | @スペイン | 02:38 | - | - |
二人の日本人@バルセロナ
先日、とても対照的な立場でバルセロナの建築に関わっておられる二人の日本人の方にお会いした。

ひとりは、吉村有司さん。
現在カタルーニャ州政府−バルセロナ市役所の都市生態学部門にEUプロジェクトコーディネーターとして勤務されている。バルセロナのグラシア地区が3年前から実施している歩行者空間計画やバルセロナの新バス停計画など、日本人ながらバルセロナの行政組織で公共空間の計画に実際に関わっておられる、希有な方。調べものをしていてたどり着いた彼のブログで、バルセロナの都市計画の生々しい現場の様子がとても興味深く,また現代建築に対してもとても分析的で的確な批評を述べておられるのにとても驚かされた。帰国する前に一度お会いしなくては,と意を決して連絡して、時間を作っていただいてお会いして来たのだが、話がはずんで昼食の時間があっという間に過ぎていってしまった。

もうひとりは、1999年にガウディ建設協会(GAUDI INSTITUTE)にてレンガ建築を学び、こちらの伝統的レンガ積みの伝統技術を持つ左官職人ジョルディ・ドメネクさんのもとで働く左官職人、谷口達平さん(田中裕也さん設計の北海道・江別のモニュメント建設にも親方のジョルディさんと一緒に来日している)。もうバルセロナでの左官職人歴が9年というから、おそらく日本人で初めての一人前のカタランボールト職人。田中さんの紹介で連絡させてもらい、色々とカタランボールト工法について詳しい話を聞かせていただいた。やっぱり現場で働く方は、話のリアリティが全然違う。僕の場合は日本で自分で実際にやってみようという気持ちがあるので、普通の建築家が興味を持つこと以上のことを聞く必要があるのだが、欲しい答えが的確に戻ってくる。近日中に実際にカタランボールトの現場を見学に行かせてもらう約束も。

帰国も真近になってこういう方と知り合うのは、もう少し早く会えればなあと欲張りな気持ちも芽生えたりするのだけれど,今はインターネットで瞬時にやり取りが出来る世の中だから,それほど距離は関係ないのかもしれない。むしろこうした人たちのとのネットワークを生かして、どんなことが出来るのだろうかということを、ゆっくり考えてみたい。
| 森田一弥 | @スペイン | 21:31 | comments(3) | - |
エスグラフィアド@セゴビア
ローマ時代の水道橋で有名なセゴビアの街は、エスグラフィアドesgrafiadoと呼ばれる左官壁の宝庫でもある。マドリッドから二時間ほど電車に揺られてセゴビアに行き、一日中歩き回ってエスグラフィアドの写真をたくさん撮って来たのでここで紹介します。

エスグラフィアドについては以前にも紹介してい(スペイン編モロッコ編)ますが、もともとはイスラム文化圏から伝わった左官仕上げ。スペインでもモデルニスモ運動のころは、J・P・カダファルクなどの建物の壁面装飾によく使われていたが、今ではバルセロナ周辺ではほとんど新たにつくられることはない。一方でこのセゴビアでは、このエスグラフィアドを地域の建築的伝統と位置づけ、古いものの保存だけでなく旧市街の新しい建物にも積極的に壁面装飾として使っているようだ。



セゴビアの街並み。こんな感じでエスグラフィアドを外壁に施した建物が、旧市街ではかなりの割合を占める。



バルセロナのエスグラフィアドは、モデルニスモの頃のものがほとんどなので、アールヌーボー風のある程度具体的なモチーフのものが多いが、こちらはもっと単純で幾何学的。よりイスラム文化の影響が色濃く残っているといえる。



この建物も最近リノベーションされたばかりと見えるが、あたらしくエスグラフィアド壁を施してある。



その壁面のアップ。壁の色は二層に塗り付けたモルタルの下の層に着色してあって、一層目を削り落とすことで表に現れてくる。



こちらも旧市街の住宅の外壁。



かなり複雑なパターンのエスグラフィアド。



このパターンも珍しくて面白い。セゴビア中の壁のパターンを集めたら,それだけで一冊の本ができそうだ。



こちらは、白雪姫のお城のモデルになったといわれている、旧市街の端にあるアルカサル(イスラム起原の「城塞」を意味する言葉で、catsleの語源にもなっている)。この壁面にも全面にエスグラフィアドの装飾が.....。
白雪姫が住んでいたのは、実はイスラム風のお城でした・・・、という新事実の発見が、個人的には妙にうれしい。
| 森田一弥 | @スペイン | 07:23 | comments(0) | - |
現代建築めぐり@マドリード
いままであまり見るべき現代建築に恵まれなかったマドリードも、昨今の建築ラッシュのおかげで、ずいぶんと面白い建物が増えている。あと数年もすればマドリードだけでなくスペイン各地の都市は21世紀初頭の現代建築の宝庫になるはず。



二年前に完成したマドリードの空の玄関口、バラハス空港aeropuerto barajasはリチャード・ロジャース設計。
波打つ屋根のリズムが気持ちのいい空間。



屋根の内装材には小幅板の透かし張りで、周囲のハイテックなインテリアにもかかわらず、温かみのある雰囲気を演出している。木ってやっぱりいいよなあと思ってしまうのは、世界共通の感覚なんだろうか。



直径1mくらいのパラボラ状の照明。



プラド美術館の真向かいに先日オープンしたばかりの美術館カイシャ・フォーラムcaixa forumはヘルツォーク&ド・ムーロン設計。現代美術を展示している内部空間はそれほど見るべきものはないと感じたが、既存のレンガ造の建物と上のコールテン鋼で覆われた増築部分の調和と、そのボリュームが一枚の鉄板の上に載って浮いている(ように見える)ファサード表現はインパクトがある。隣の緑化された壁面とあわせて、写真を見てもレンダリングされた画像みたいに見える。



スチールプレートの上のレンガの躯体。



こちらもプラド美術館から徒歩五分のレイナ・ソフィア美術館の増築部分、ジャン・ヌーベル設計。



マドリードの陸の玄関口であるアトーチャ駅は、スペインの大御所ラファエル・モネオ設計。少し歪んだ四角形の屋根が連続するプラットホーム屋根。同じ建築要素を連続させるラファエル・モネオらしい作品。彼の作品はその繰り返しが退屈なだけに終わってしまっている作品も多いが,この駅は成功していると思う。



プラットフォーム横の駐車場。こちらはドーム屋根が連続する空間。



古い駅舎部分は待ち合い空間となっていて、中央に南国の植物をわんさか茂らせている。



その他、マドリードの若手建築家で今一番勢いのあるマンシーリャ+チュノンの最初期の作品のプールも見に行く。モネオの事務所出身の彼らの作品は、さらに小さな要素の繰り返しが特色のひとつ。



プールの内観。



こちらは同じくマンシーリャ+チュノンの古い工場をリノベーションした地域図書館。既存建物のレンガに対し、増築部はプロフィリットガラスとスチールのスリットのファサード。



図書館エントランスホール。

その他にも、マドリードには古いものでいえばエドアルド・トロハの競馬場とか(予約をするか競馬のある日しか入れないので注意)、最近ではMVRDVの集合住宅とか、スペインの若手建築家のものも含めるとかなりの数とレベルの現代建築があり、いままではマドリードを素通りしていた建築目当ての旅行者も数日滞在するようになるはず。



マドリードにも春が来ています。こちらの春の花といえばアーモンドの花。野生の木は古い実が枝についたまま新しい花を咲かせている。
| 森田一弥 | @スペイン | 22:52 | comments(5) | - |
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